土日祝のパート駐車場警備員です。
駐車場警備では１人勤務が基本です。片側交互通行のように複数の警備員による共同作業はありません。
一緒に警備することはないのですが交代の時に顔を合わせます。１時間勤務して３０分休憩が基本です。しかし寒い時など早く交代に来て欲しいです。

そう思って私は自分の休憩時間を早めに切り上げて交代に行っています。
ところが７０歳近い先輩に限ってしっかり休んで時間通りしか交代に来てくれません。
それどころか詰まらないことに時間を掛けて交代時間が遅れることがあります。

「●＆％＃？です、隊長、隊長。中型バスが駐車場に入って来ました。満車ですから駐車できる場所はありません。どうしましょうか」
交代時間なのに無線ルールを無視した下手な無線が聞こえてきました。誰かすぐにわかりました。先輩の岩倉（仮名）です。無線で自分の名前を名乗る必要はありません。発報場所を最初に言います。

「今の無線は高岡さんですか？　場所はどこですか？」
「岩倉です、岩倉です。Ｂ駐車場です。どうしましょうか？」
「運転手さんに臨時駐車場か有料駐車場に行っていただくように言って下さい」
「はい、バスを追いかけて注意してきます」
何年警備員してんだ、岩倉のオッサン。そんなバスは客を降ろしたら出ていくに決まっています。
駐車したいバス運転手は警備員にどこに停めたらいいか聞いてきます。
私は広い県道の左車線か博物館周辺に堂々と停めたらと助言しています。

私は先輩を敬愛しています。ですが、
「オイ、コラ、オッサン。寒いし待機時間が無くなるだろ。ローテーションを守れよ」
とひとりごちます。
白手袋が雨で濡れ冷たい風が吹き指先が震えています。手にした計数カウンターが冷たく凍えます。早く車のヒーターで暖を取りたいです。
岩倉の無線を聞いて交代のＴＯ先輩もゆっくり岩倉の持ち場に行ってます。ＴＯがさっさと岩倉と交代していれば、バスを追うのはＴＯでした。

警備員には老若男女を問わずマイペースな人が多いように感じます。
さらに６５歳以上の先輩はマイペースが多いです。そんなマイペース爺さんの言動は気にしないようにします。
「岩倉です、隊長どうぞー。バスはお客を降ろしたら出て行きました」
と間延びした声が無線機から聞こえてきました。

いつ見ても黙って見ているが表情は強張ってしまうマイペース警備員や