駐車場警備員の詩(うた)

警備に関する雑詠です。たまに普通の記事を書きます。

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舟券の取り忘れ感謝される警備員

競艇場で舟券購入をされるお客様のことを単に「ファン」と呼んでいます。
警備員のうちの少数派ですがファンを大事にして舟券やつり銭の取り忘れがないか真剣に立哨します。
ファン同士の争いには身体を張って阻止します。マークカードや鉛筆の補充や記載台整理は二の次です。


A競艇場警備員の長年の伝統で記載台整理が第一の任務と暗黙の了解がありました。
前班長のモアイが目を光らせています。同じ最低賃金の仲間のはずですが年季が入っていてお山の大将です。
モアイというのはOSさんがつけたあだ名です。のっぺりしたモアイ像に何となく似ています。少数派の4人だけに通用します。
70歳のモアイは掃除の早い人を評価します。
「舟券の取り忘れ? それはファンの自己責任。警備員に落ち度はない。そんなことより記載台の整理整頓がよほどファンのためになる。お前も早く仕事を覚えろよ」
一番熱心な清掃員は当時の班長でした。ファンや発売機に背を向けてせっせと掃除します。


モアイや班長に何と言われようと舟券や釣り銭の取り忘れを監視します。
取り忘れをお客様に教えたときは嬉しそうに感謝されます。だいたい1日に数回ありました。掃除する人は当然ながら0回です。
取り忘れますと発売機が『舟券をお取り下さい』と何度もメッセージを発声します。
休憩の移動中に音声が耳に入って取り忘れを教えることもあります。


警備員がお客さんから感謝されることは滅多にありません。
「お客さん、舟券を取り忘れていますよ」
発売機から離れたときに声をかけると「あ、ありがとう」と何度も頭を下げる人がいます。
黙って恥ずかしそうにして客席に戻る人が多いです。
『よかった。何も言われないけど感謝されているのだろう。また教えてあげよう』
これは掃除ばかりする人にはわからない気持だと思います。

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