駐車場警備員の詩(うた)

警備に関する雑詠です。たまに普通の記事を書きます。

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真夏日に手渡されたる財布かな

スーパーの店舗前で歩行者と車両の誘導をしていました。
日蔭もない暑い午後にご婦人から声を掛けられました。
「自転車の前かごに財布がありました」
と私に手渡されました。チャックが半分開いていてお札が見えていました。
「どの自転車ですか」と駐輪場に移動して確認し時計を見ました。
落とし物ではなく忘れ物のようです。


そして面倒だなと思いました。
報労金を請求する権利と所有権を取得する権利の確認が頭に浮かびました。
報労金とは「お礼」のことです。20%以下の額になります。
また3カ月たっても持ち主がわからないと、拾った物をもらえます。ただし施設内で拾ったのでお店と折半になります。
この2つの権利を放棄することもできます。そのような説明もしないといけないかもしれません。


「ではご一緒にお店のサービスセンターに届けに行きましょう」
と提案しますと「じゃあ、私が行ってきます」
ほっとして「お願いします」と財布を渡しました。


「店舗前から隊長、どうぞ」。無線で報告します。
「はい、どうぞ」
「駐輪場の自転車のかごに財布がありました。発見したお客様にサービスセンターに届けていただきました。どうぞ」
「一緒に行かなかったのですか。なるべく一緒に行って下さい。どうぞ」
「はい、了解しました。以上、店舗前」


あのご婦人がサービスセンターに正直に届けてくれたか気になってきました。でも信じてサービスセンターで確認することはしませんでした。


真夏日に手渡されたる財布かな


(Photo AC 無料写真素材から)

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