「それはなぜ」聞いた新人叱られる
高校を卒業して就職した会社での仕事は手子(てこ)だった。
手子は「助けをする者。下回りの仕事をする者」という意味である。
最初は誰でもそうだった。
作業中に「それはなぜ?」と質問すると叱られたりもした。
教えたくなかったのだろう。
そんなこともあって、1、2年は我慢が必要だった。
私も含め10人ほどの高卒者が入社した。
私立も公立も半分くらいだった。
会社は高卒の新人にさほど期待はしていなかったと思う。
早く現場作業を覚えて欲しいといった程度の期待だった。
そんな時に「日本列島改造論」が出た。
世の中大いににぎわった。
発表者は当時の田中角栄首相である。
ますます景気がよくなった。
我々新人は全国各地にある支店に手子として派遣された。
あるものは転勤で、あるものは長期出張であった。
(続く)