駐車場警備員の詩(うた)

警備に関する雑詠です。たまに普通の記事を書きます。

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人が来た無言のままでじっと見る(3)

十代まで私と浜野と権田は近所でした。
浜野はレベルの低い私立高校に、権田は大手の日立金属に中卒で就職しました。
私は奨学金で県立工業高校に行きました。


高校卒業して何年かたって昭和の末頃です。
友人Kの戸建て住宅の近くに日立金属の社宅がありました。
権田はそこに入居していました。
私はその付近で浜野をちょくちょく目撃していました。
声を掛けるほど親しくありません。


浜野は「焼き鳥浜ちゃん」という店を出しました。
閉店後に飲酒運転して帰宅途中で事故を起こしたそうです。
それから離婚し不遇の生活と風の便りを聞きました。


そして友人Kは再び電話をしてきました。
「寝る前に施錠しようと玄関に行ったんだ」
「何?」
「下駄箱の上に、見慣れない袋があって中身は唐揚げだった。どう思う?」
「それは浜野のしわざだろう。手土産のつもりだろう」
と笑いました。
「気持悪いな。昼間も夜も施錠した方がいいな」
「それがいいね。酒好きの浜野はぼけているかもしれない。無施錠だと何をされるかわからないね」
「そうしょう」
「また浜野が接触してきたら、教えてね。面白そうだから」
(無言編、了)

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