徹夜明け動いた理由は神が知る(2)
当時の職場にはコンピューターソフトの担当者が4人おり、そのうち2人は電気部門との兼務でした。私が派遣入社して担当者は5人になりましたが、私自身も雑用係との兼務で、右も左も分からない状態でした。
それでも英文マニュアルを必死に読み込み、生まれて初めて「本気で勉強する」という経験をしていました。
私は母子家庭で育ち、中学を卒業したら職人になるつもりでした。周囲の大人たちからも「勉強せんでいいから身体を鍛えろ」と言われていたほどです。
中学時代は部活に励み、空手や将棋道場にも通っていました。授業中は、前の授業の宿題をこっそり片付けるような生徒でした。
そんな私に、中学3年の12月、担任の先生が「奨学金を受けて高校に行かないか」と声をかけてくれました。高校進学は諦めていましたが、その言葉のおかげで進学することができました。
職場の主担当の二人は、毎月何日か徹夜をしていました。お二人は昭和18年生まれの32歳で、私より10歳年上です。
私に引き継ぎをして帰宅されるのですが、残された課題はたいした内容ではありません。なぜ徹夜までして処理できなかったのか、当時の私には理解できませんでした。今思えば「残業代稼ぎ」だったのだと思います。
掛長からその件について尋ねられたとき、私は「難しかったです」とだけ答えました。空気を読んで、本音を口にすることはありませんでした。