駐車場警備員の詩(うた)

警備に関する雑詠です。たまに普通の記事を書きます。

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ホタル祭り警備日誌-6-

仮設ステージでは18時30分にガールズバンドの演奏が終わった。予定では出店は19時まで営業してから撤去作業が始まる。19時30分に2カ所の出入り口を解放して片付け車両が出入りすることになっていた。
隊長の北尾はしばらく2カ所を3人で交代に警備する、いわゆる「2-3(ツースリー)」の体制を継続して様子をみることにした。
祭りの客は時間がたつにつれて少なくなってきた。ますます警備は楽になってきた。
19時30分から3人とも立哨する全員立哨に切り替わった。公園から園内に通じる2カ所の出入り口には北尾と香野が立った。丸川は園内の交通誘導であったが一旦車両が園内に入り駐車すると撤去材の梱包と積込みでしばらくは動かなかった。


香野は丸川を手招きして呼び寄せた。
「失礼なことを言いたい放題で常に上から目線の威圧的な先輩の対処方法について私がどうしてきたかお話します」
「おお、それを聞きたいね」
「まず、嫌な奴の性格を変えてもらおうと思うのは諦めて下さい。それに自分が警備員を辞めるというのもだめです」
「まあ、今さら人の性格は変わらないだろうね」
「としますと、ご自分がどう向き合うかによります」
「うん」
「面と向かって言葉をぶつけます。思いっきりキレます。私は数人知っています。そのうちの一人はタコの西村さんです。だけどこれは万人向けではありません」
西村は丸顔で丸刈り。酒焼けのせいか顔が赤い。何かあると口がタコのように丸くなって文句を言う。だからあだ名がタコになった。
「4班のタコさんですか。でも俺にはできそうもないなあ」
「あとは不平不満を持っている人と愚痴大会を開いて下さい。私は3班の班長や大崎さん、伊藤さんなどと思う存分愚痴を吐き出しました。徐々に虚しくなってきて嫌な奴のことなんかどうでもよくなってきます」
「悪口ではなく愚痴だね。悪口も言い合うとすっきりするけどね」
「あとは4班の藤井さんのように瞑想して人のことが気にならなくなるという方法もあります。これも中々難しいですね」
「わかった。そんな奴のことなんかどうでもよくなってくるように愚痴大会から始めてみるよ」
愚痴は娯楽にもなるし物事を客観的にみるための機会とするならそれはもはや愚痴ではない。


さて早く帰ってビールが飲みたい3人はどうなったか。
出店の撤収が20時過ぎに終わったがB級グルメフェスが終らなかった。中高生の若い連中が集まって楽しそうに談笑していた。彼らにとって数少ない非日常の世界だろう。
警備開始が13時だった。拘束9時間で22時が定時である。それ以降は残業であるがきっちり定時で終わった。早めに終るという期待はいつも外れる。 (了)

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