拾得物横領を疑われた警備員の取った行動
競艇場で働く従業員から拾得物を預かることもあります。
施設の従業員が現金を習得しても「拾ったものをもらえる権利」などはありません。
「これ、あそこの自販機の前に落ちていました」
A警備員は顔見知りの女性従業員から100円玉を受け取りました。
自分で警備本部に届けるつもりでポケットに入れました。
最終レースが終わり最終点検をしている時に女性従業員に会いました。
にっこり笑って「お金、届けてくれましたか」と聞きました。
「もちろんです」と笑って答えたらよかったのです。
Aさんは血の気が引いて、
「あ、しまった。忘れていました」
と絞り出すように答えました。
彼女の顔が曇り咎めるような目をしたのかもしれません。
それからA警備員は本部に直行して「今日で辞めます」と伝えました。
(つづく)