駐車場警備員の詩(うた)

警備に関する雑詠です。たまに普通の記事を書きます。

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プライドを守るために人のプライド踏みにじる

Aさんは70歳。
W競艇場の警備員になって10年近い人でした。
私も応援に行ったときに指導を受けたこともありました。


温厚な紳士であり皆さんの信頼の厚い人でした。
大変に自尊心の高い人でもなかったようにお見受けしました。
自分のプライドが何よりも大事な人がいます。
A競艇場の警備員にはそんなのが多くいます。
それを守るためなら遠慮なく他者のプライドを踏みにじることができます。


先輩同僚も必死に慰留しました。
「100円のために辞めることはないよ」
「そうそう、こうして持ってきたのだから窃盗したわけでもないし」
「つい、うっかり忘れることってあるさ。人間だもの。気にしないこと」
Aさんは誰が何と言っても首を横に振りました。


私がこの件を聞いたのはすでに退職された後でした。
Aさんの胸中はいかがなものでしょうか。
もしかしたら『俺も衰えた』と老いを実感されたのかもしれません。
金額の高ではありません。
加齢に伴って身体能力の低下を自覚し忘れた自分が許されなかったのでしょう。
(つづく)

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