葉桜や学び直しの五十路かな
SNSで「情報処理安全確保支援士の学習」という投稿を見かけたとき、ふと二十年前の自分を思い出した。
もし二十年若ければ、私もこの資格に挑戦していたかもしれない。
だが、そもそも当時はこの資格自体が存在していなかった。時代が変わったのだ。
二十年前、私は初級システムアドミニストレータに合格した。
今でこそ「ITパスポート」や「セキュリティマネジメント」など細分化された資格があるが、当時の初級シスアドは、ITの基礎から業務知識、ネットワーク、セキュリティまで幅広く問われる、今思えば贅沢な試験だった。
国家資格ではあるが士業ではないが、社会人としてのITリテラシーを証明するには十分すぎる資格だった。
実はその頃、私はヤフーのネット設定サポートのアルバイトをしていた。
友人に誘われ、50歳前後で始めた仕事だった。
「今さらITの仕事なんて」と思う気持ちもあったが、やってみると意外なほど性に合った。
独学で覚えた知識が現場で役に立ち、困っている人の家に伺ってネットをつなげると、相手の表情がパッと明るくなる。
その瞬間が嬉しくて、気づけば三年間、土日祝だけの稼働で続けていた。
アルバイトとはいえ、本業の30万円の月給を超えた月も多くあった。
女房が毎月ボ-ナスみたいと喜んでいた。
「学び直し」という言葉がまだ一般的ではなかった時代に、私は自然とそれを実践していたのだと思う。
50代で新しい仕事を覚え、現場で鍛えられ、収入にもつながった。
あの経験は、今の私の“ITに強いおじさん”という立ち位置をつくった原点でもある。
そして今、SNSで若い人たちがセキュリティの資格に挑戦している姿を見ると、時代の流れを感じる。
サイバー攻撃が日常化し、セキュリティが専門職として確立した現代。
もし私が二十年若ければ、きっとその波に乗っていたかもしれない。
だが、年齢を重ねた今だからこそ、技術の進化を俯瞰し、社会の変化を味わいながら学べる楽しさもある。
初級シスアド、ヤフーのサポート、独学の日々。
それらはすべて、私の中で一本の線につながっている。
資格の有無に関わらず、学び続ける姿勢こそが、時代を越えて自分を支えてくれるのだと、今になって実感している