チューリップ予想以外の色も咲き
昨年の十二月、冷たい空気の中でそっと土を掘り、チューリップの球根を十二個並べた。
春になれば、きっと揃って顔を出し、同じ高さで風に揺れる??そんな光景を思い描きながら。
ところが、春は思ったより自由奔放だった。
背の高いもの、低いもの、葉が横を向いているもの、そしてついに芽を出さなかった五つの球根。
プランターの中は、まるで小さな個性の見本市のようになった。
赤を4個並べたのだが赤以外に桃色になっていた。

最初は「植え方が悪かったのだろうか」と思った。
向きを揃えたつもりでも、球根は土の中で自分の都合のいい方向へ伸びていく。
日当たりの差もあれば、球根そのものの力の違いもある。
人間が思うほど、自然は均一ではないらしい。
けれど、バラバラに伸びる葉や花を眺めているうちに、ふと気づいた。
揃わないことは、失敗ではないのかもしれない。
同じ土に植えられても、それぞれが自分のペースで春を迎える。
それはむしろ、生命らしい姿なのだと。
もちろん、来年はもう少し上手に植えてみたい。
向きをそろえ、深さをそろえ、球根も選び抜いて。
でも、どれだけ工夫しても、きっとまた少しはバラつくだろう。
その不揃いさを、今度は最初から楽しみにしてみようと思う。
プランターの中の十二の球根は、
「同じように育てても、同じようには育たない」
そんな当たり前のことを、春の光の中で静かに教えてくれた。