(元)敬老警備員の詩

警備員俳句や警備員短歌をタイトルにした警備に関する雑詠です。

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誘導や紫蘇の香のする朝の市

土日祝のパート警備員です。
特定の現場に配置されることはなく会社から指示されています。

土曜日は朝市をされるスーパーがあります。
特売品もありますが店舗前にこの日のために仕入れた野菜を並べています。

開店時間前になりますと行列もできています。
駐車場警備に来ていい香りに気づきました。


誘導や紫蘇(しそ)の香のする朝の市


ひと安心爆弾騒動残暑なほ

スーパーの駐車場警備をしていますとパトカーをよく見かけます。
万引きなどがありますと業者出入口から入ってきます。すごく多いと思っていたら隊長から無線が入りました。
「無線各局、無線各局。専門店街の男子トイレに不審なスーツケースがあって警察の危険物処理班が来ています。詳細はわかり次第連絡します。以上」


テロかもしれません。爆発物の疑いのある物件を発見しますと「触るな」「動かすな」「近づくな」の三原則を守ることが肝要です。常駐の警備員が爆発物かもと想定し警察に処理を依頼したのかもしれません。
しかし普通はトイレにアタッシュケースがあるのは不審物、いわゆる「その場にあるのが不自然なもの」ではないです。
私が第一発見者ならためらわずに持ってみて重量物が入っているか確認します。通常の重さであれば開けて確認したでしょう。異常に重ければ爆弾が入っているかもしれません。


トイレ周辺が立ち入り禁止となって駐車場警備の隊員も何人か閉鎖監視に駆り出されました。
数時間後に隊長から無線が入りました。
「無線各局、無線各局。男子トイレにあったスーツケースには危険物はありませんでした。持ち主も判明しました。閉鎖は解除になりました。以上」


隊員が減って待機時間が短くなっていました。
「なんだ」とほっとしたと同時に疲れがでてきました。


ひと安心爆弾騒動残暑なほ
足の重くなりゆく思ひ残暑なほ



(PIXTA画像の無料サイトから)

真夏日に手渡されたる財布かな

スーパーの店舗前で歩行者と車両の誘導をしていました。
日蔭もない暑い午後にご婦人から声を掛けられました。
「自転車の前かごに財布がありました」
と私に手渡されました。チャックが半分開いていてお札が見えていました。
「どの自転車ですか」と駐輪場に移動して確認し時計を見ました。
落とし物ではなく忘れ物のようです。


そして面倒だなと思いました。
報労金を請求する権利と所有権を取得する権利の確認が頭に浮かびました。
報労金とは「お礼」のことです。20%以下の額になります。
また3カ月たっても持ち主がわからないと、拾った物をもらえます。ただし施設内で拾ったのでお店と折半になります。
この2つの権利を放棄することもできます。そのような説明もしないといけないかもしれません。


「ではご一緒にお店のサービスセンターに届けに行きましょう」
と提案しますと「じゃあ、私が行ってきます」
ほっとして「お願いします」と財布を渡しました。


「店舗前から隊長、どうぞ」。無線で報告します。
「はい、どうぞ」
「駐輪場の自転車のかごに財布がありました。発見したお客様にサービスセンターに届けていただきました。どうぞ」
「一緒に行かなかったのですか。なるべく一緒に行って下さい。どうぞ」
「はい、了解しました。以上、店舗前」


あのご婦人がサービスセンターに正直に届けてくれたか気になってきました。でも信じてサービスセンターで確認することはしませんでした。


真夏日に手渡されたる財布かな


(Photo AC 無料写真素材から)