駐車場警備員の詩(うた)

警備に関する雑詠です。たまに普通の記事を書きます。

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萩の花無線機からは怒鳴り声

土日祝のパート駐車場警備員です。
幼稚園のイベント警備にもよく出かけます。園の運動場が狭いときに、イベント会場で運動会をする場合があります。駐車場が不足しますので周辺駐車場を借りて対応しています。


複数ある駐車場に2名から3名の警備員が配置されます。
警備員は園の駐車許可証があるか確認します。そして奥から順に駐車していただくようにもう1人の警備員が案内します。間違って来る車に正しい駐車場所を教えます。
隊長から駐車状況について何度か問い合わせの無線が入ります。


「警備本部から2号駐車場。空き台数をざっとでいいですから教えて下さい」
「はい、2号です。どうぞ」
2号の無線は長老Y警備員です。声でわかります。耳を澄ませて応対を聞きます。
「空き台数は何台ですか」
「はい、ここは普通車が35台。軽が10台駐車できます。今から何台空いているか数えます。しばらくお待ちください」
「2号、ざっといいから見た感じでいいと言ってるだろう」
「2号応答しなさい」
長老Yは隊長の絶叫も完全無視です。隊長の怒鳴り声だけ響きます。
「2号、簡単に言いなさい。正確に数えなくていいから・・・」


ようやく回答がありました。
「2号駐車場です。普通車55台のうち入庫は33台、つまり12台の空きです。軽は8台で2台空いてます。どうぞ」


75歳を超えた長老が3名います。どうしても警備員が足りない時に呼ばれています。
隊長も無線で呼びかけなくてすむような配置を考えるでしょう。
駐車場の花壇には萩の花が咲いていました。


萩の花無線機からは怒鳴り声


(Photo AC 無料写真素材から萩の花)

警備員背を向け花火は音ばかり

土日祝のパート駐車場警備員です。
今夏は2件の花火大会警備に参加しました。3年前に初めて花火大会に携わったことことを思い出しました。


配置場所は大きな交差点の横断歩道でした。
花火見物に来られた歩行者の安全誘導と信号無視を防ぐことでした。
当時は公営競技場でフルタイムで働く雑踏警備員でした。そこで働く先輩たちから交通誘導をするなと言われていました。
「交通誘導して事故を起こしたら自己責任だから誘導するな」


浴衣を着て草履で歩くお嬢さんたちが青信号で横断歩道を渡ります。
時には「信号が黄色になりました。お早く渡って下さい」と声を張り上げます。
道路の向うにいる先輩は花火を見て知らん顔です。


花火大会が終わって社員の隊長に問いただしました。
「先輩たちは与えられた仕事を無視して花火を見ていました。私は花火を背にして誘導をしていました」
「何もしなくても事故が起きなければいいです。クレームが出なければ問題ありません」
一瞬絶句です。
花火を見ないで交通誘導しましたが警備員とはなんだと考え続けました。


警備員背を向け花火は音ばかり


(Photo AC 無料写真素材から花火)

六十の警備士に落つる木の実かな

土日祝のパート駐車場警備員です。
初めて食品スーパーの新規開店オープニング警備に行ったのは新人時代の3年前でした。

会社の中型バス2台に分乗し先輩同僚と1時間かかる現場に行きました。
当時は公営競技場でフルタイムの雑踏警備をしていました。


私たち新人3人は駐車場の内側ではなく外側の公道で路上駐車の警戒を指示されました。
郊外の閑静な住宅街に待望のスーパーができたことですごい人気でした。
駐車できない車が構内道路で行列になっていました。それどころか場内駐車場に入るために公道に隊列ができていました。
我々は歩道に立ち駐車場待ちのドライバーと「多いですね」とのんきにしゃべっていました。


2時間たっても交代要員も来ませんし隊長も駐車場を見渡しても見かけません。
喫煙者のNが「待機はどうなった。小便したいしタバコも吸いたい」と騒ぎ出しました。Nは入隊したばかりで立哨にも慣れていません。


指示はありませんが交互に20分休憩をすることにしました。
まずNからです。乗ってきた中型バスに行きタバコを吸ったようです。戻って来て「バスの後ろのガードレールに小便かけてきた」と笑います。
次にAが休憩になりNと同じところで小便したと大笑いました、最後に私が待機です。お店のトイレに向かいました。待機は順に繰り返してしていました。
立哨しているときに街路樹から木の実が落ちてきました。


駐車場内外が騒然としていましたので隊長も我々のことを忘れていたのだと思います。
NやAに会いますと当時のことを思い出して笑います。


六十の警備士に落つる木の実かな


(Photo AC 無料写真素材からドングリ)