警備員OBがボートレースに来た話
競艇場警備員を辞めてからボートレースにお客として来る人がいます。
かつての職場が懐かしいのもあるでしょう。
それに自分でも舟券を買ってみたいと思うのかもしれません。
そんな先輩を私はよく見つけます。
お客様全員に挨拶するつもりでお顔をみています。
「あ、Aさんですね? 半年前の新人の頃はお世話になりました。今はすっかり慣れました」
「あ、そう?」
どうやら覚えていないようです。
「勝っていますか?」
「いや、なかなか難しいね」
「お昼の7レースは本命で決まると思います」
「そう?」
「はい。一番人気の三連複と三連単を2百円ずつ買ってみて下さい」
私には当たるという確信がありました。
(続く)