秋の夜に葬儀の話は寂しくて
とりあえず名前と住所を聞きました。
会館の近所の人でした。
「僕は動脈瘤があって、それが破れたら死にます」
「まだお若いでしょ?」
「はい、38歳です」
ほぼ私の子どもと同じ歳です。
親御さんの気持ちになると心がざわざわします。
「僕が突然死んだら、どうなるのでしょう?」
「まず病死なのか事故死なのか殺人なのか警察が検案することになります」
「解剖されるのですか?」
「はい、死因を調べます」
「葬儀代はどうなるのでしょうか?」
この問い合わせには慎重になります。
実は社員の方で「総額30万円で葬式をしたい」
という喪主さんから打診があって請け負ったのでした。
べテランの社員でした。
(明日に続く)