駐車場警備員の詩(うた)

警備に関する雑詠です。たまに普通の記事を書きます。

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寝返りがかくもうれしき初孫は

カッパオヤジの夫人はパートを辞め海外旅行に行くととすぐに妊娠した。
夫婦で歓喜した。だがその赤ちゃんは妊娠4カ月で亡くなった。
エコー検査をしていた医師の顔が曇った。「心臓が動いていない」


この話をカッパオヤジから聞いた私は志賀直哉を思い浮かべた。
志賀直哉という人は小説の神様と言われている。
名作とされているものの中に『和解』という作品がある。
高校の頃に読んだがわからなかった。わが子ができて初めてわかった小説のひとつだった。


千葉県の手賀沼辺りに住んでいる主人公に赤ん坊が生まれたが2カ月ぐらいで死んでしまう。
主人公はずっと父親と仲たがいをしていて、お互いに理解しえないまま離れて暮らしていた。
赤ん坊は主人公の父親にとっては孫にあたる。
その孫が生まれてすぐに死んだことを一応は報告しないといけない。
そこで千葉から東京の麻布あたりの父親の家に行き客間で父親と向かい合って座わる。
仲の悪い親子だからほとんど口をきかない。
だから主人公はいきなり用件を切り出す。
「子どもが生まれましたが、すぐに死んでしまいました」
という必要最低限のことを言った。
父親のほうも「そうか、死んだか」という程度のことしか言わない。
それで主人公は帰ってしまう。
それだけの作品だ。なぜ「和解」なのかわからなかった。
(番外編まだまだ続く)

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