信念を貫き通せよ老警備員
忘年会幹事のDEさんがテーブルに戻ってきました。
上座に鎮座する前班長で勤続15年のモアイにお酌などしていたようです。
モアイに関する噂が流れていました。さっそく確かめました。
「W競艇場の班長になると聞きましたが本当ですか」
W競艇場は我々の勤めるA競艇場と真逆の対応をします。
つまり記載台の整理よりお客様の舟券や釣り銭の取り忘れがないかを監視します。
もし見逃した場合は始末書を書きます。
モアイが口を酸っぱく言っているのは「舟券の取り忘れは自己責任。警備員に責任は無い」です。
モアイさんあんた偉そうに言っているがW競艇でもそれを貫いたら私は尊敬するよ。
班長のDEさんは、
「本当です。W競艇場で班長になります」
と答えてくれました。
「へえ、楽しみです」
私が何を楽しみにしたのか分かりっこないと思いました。
(つづく)